IN FOCUSVol.4
DIALOG LOGO
THE CRIMIEが手がけるアイテムの誕生秘話からスピンオフ的な裏話まで、
ちょっとタメになる、をテーマに幅広くお伝えするコラム。
通算4回目となる今回、テーマは“ダイアログ”ロゴについて。単なるロゴではなく、ダイアログロゴ。これがポイント。このダイアログが意味する内容はというと……。前3回とは少々趣を変えて、THE CRIMIEのモノ作りの根底に流れるメッセージの源流、それを紐解いていこうかと思う次第。
「4812 GL AND GB 7714」。
Tシャツやタンクトップなどのアイテムに、控えめにプリントされているこちらのグラフィック。この数字とアルファベットの羅列が意味するものは何か、考えたことってありますか?パッと見でその答えが分かった方はほぼいないハズ。正直なんのこっちゃ、ってなりますよね(笑)。実はこれ、こんな意味です。
4812=現在の本社住所の番地
GL=GOOD LUCKの略
GB=GOD BLESSの略
7714=かつてロサンゼルスにSHOPがあった住所の番地
この4つのキーワードを組み合わせると<4812 GOOD LUCK AND GOD BLESS 7714 >になるというワケです。加えて、THE CRIMIEというブランド名はと言うと「良い事も悪い事もした仲間」というスラングに由来しています。ルーツにあるのはアメリカ、ロサンゼルスに色濃く残るカルチャーであり、現地由来のスタイルでもありました。つまり、4812 GL AND GB 7714の意味するものは「生まれや育ちは変えられない、だったら未来は自分で作るしかない」という強い信念めいた部分を、数字と記号の組み合わせで表現したメッセージダイアログになっているのです。
また、2つのハートを重ねた代表的なモチーフがありますが、実はこれ、チカーノタトゥーに代表される2 FACEが着想の起源。メキシコ系アメリカ人の間で人気のあるスタイルで「今は笑って、泣くのは後」と言った意味。意訳すると「今を生きる」。人生で起こる様々な出来事をネガティブに捉えて過去に囚われるのではなく、ポジティブに今を精一杯生きる、という意味を込めてデザインされることが多いのです。この考え方にいたく惚れ込みデザインを活かしたのがハートであり、デザイナーの想いとともにデザイン手腕が垣間見えたのでは?
長くなりましたがそろそろ結論を。 洋服って、つい見た目や着心地を優先してしまうのですが、メッセージやグラフィックにも同じく目を向けていただきたいのが本音。そこに見え隠れするメッセージには、THE CRIMIEの洋服を着てくださるすべて人たちへ、今を強く生きるための後押しになれば、というデザイナーの切なる願いが込められているのですから。 たかがグラフィック、されどグラフィック。物事の真理まで辿り着くと見えてくる光景がある、ということです。
Mr.T
数々の国内外著名ブランドのコンサルからPR、原稿執筆まで縦横無尽にファッション業界で活躍するスペシャリストでありファッションアディクト。その生態は……。